- 軽貨物ドライバー向け 2026.09.23
70代・80代のドライバーに聞いた。40歳の自分に、今なら何と言いますか?
もし、80歳になったあなたが、今日のあなたの前に座ったら。
何と言うでしょうか。
「もっと挑戦しろ」でしょうか。
「家族を大事にしろ」でしょうか。
それとも、もっと現実的に、こう言うでしょうか。
「歯医者に行け」
笑ってしまうかもしれません。
でも、長く車に乗ってきた70代・80代の現役・元ドライバーたちから聞いてきた話を思い返すと、最後に残る言葉は、意外とそういうものなんです。
派手な人生訓ではありません。
大きな成功哲学でもありません。
貯金。歯。腰。家族。会社選び。事故を起こさず帰ってくること。
そんな、あまりにも生活に近い話でした。
最初に。これは統計ではありません
この記事は、長年配送業界に関わってきた人間が、これまで接してきた複数の70代・80代の現役・元ドライバーから聞いてきた話をもとにまとめています。
個人別に正式なアンケートを取ったものではありません。ですから、「何人中何人」「何%がそう答えた」といった統計としては扱いません。
また、個人名、会社名、年齢、細かな経歴をこちらで作ることもしません。
あくまで、複数のベテランドライバーから聞いてきた話。その中で、何度も出てきた後悔。逆に、少数だけれど妙に心に残った言葉。
それを、ひとつの記事として整理します。
だからこれは、70代・80代から40代への説教ではありません。
むしろ、きれいに割り切れない人間の話です。
「もっと貯金しておけばよかった」は、やっぱり出てくる
40歳の自分に何を言うか。
そういう話になると、まず多く出てきたのは、お金のことでした。
「もっと貯金しておけばよかった」
この言葉は、重いです。
若い頃は、身体が動きます。眠くても走れる。腰が痛くても、少し休めばまた動ける。お金が足りなければ、もう一本仕事を入れればいい。そう考えられる時期があります。
でも、70代・80代になると、そうはいきません。
年金だけでは生活が苦しい。かといって、昔のように軽貨物の現場を毎日走り続けるのは身体がきつい。そうなると、お金と健康が同時に迫ってくるんです。
若い頃から投資でもしておけばよかった。少しでも貯めておけばよかった。そんな話もありました。
ここだけ聞くと、よくある老後資金の記事みたいですよね。
でも、話はそんなに簡単ではありません。
100万円渡したら、またパチンコに行くかもしれない
これが、人間なんだと思います。
「もっと貯金しておけばよかった」と言った人に、もし40歳に戻って100万円を渡されたらどうするか、という話をすると。
中には、こういう人がいました。
「多分またパチンコ行っちゃうなあ」
「スナックかキャバクラ行っちゃうなあ」
もう、正直すぎます。
老後になってお金に困った。だから貯金しておけばよかった。それは本音です。
でも、過去に戻ったら本当に正しい選択をするかというと、たぶんしない。もしかしたら、また同じように使ってしまう。
この矛盾が、すごく大事だと思うんです。
人は年齢を重ねたからといって、急に仙人になるわけではありません。後悔もする。昔の自分に文句も言う。でも、戻ったら戻ったで、また楽しいほうに行ってしまうかもしれない。
だからこの記事は、「70代の人がこう言っているんだから、あなたも絶対こうしなさい」という話にはしません。
ただ、ひとつだけ言えることがあります。
未来の自分は、今のあなたの使い道を、思ったよりよく覚えています。
趣味に使いすぎた。でも、趣味はやっておけ
お金の後悔で多かったのは、ギャンブルだけではありません。
高い釣り竿。高いゴルフクラブ。趣味の道具。そういうものにお金を使いすぎた、という話もありました。
ただし、ここも単純ではないんです。
趣味にお金を使ったことを後悔している人がいる一方で、「若い時にしかできないこともあるから、趣味はいろいろやった方がいい」と言う人もいました。
野球。サーフィン。カメラ。旅行。
特に旅行については、使ったお金そのものを強く後悔しているような話は、比較的少なかった印象があります。
つまり、こういうことです。
趣味に金を使いすぎた。
でも、趣味をやらなければよかったとは言い切れない。
もっとお金があれば、もっと趣味に使えたのに、という気持ちすらある。
矛盾していますよね。
でも、たぶん人生って、きれいに整理できないんです。
40代のあなたに言えるとしたら、「趣味をやめろ」ではありません。
楽しむなら楽しむ。でも、未来の自分の取り分も、少しだけ残しておく。
それくらいが、いちばん人間に合っているのかもしれません。
軽貨物を後悔した人もいた。でも本当の後悔は、会社選びだった
では、仕事そのものはどうだったのか。
正直に言えば、「そもそも軽貨物ドライバーをやらなければよかった」と話す人もいました。
ただ、その背景には「学歴がなかった」「手に職がなかった」「当時は仕方がなかった」という思いがありました。
でも、話を深く聞いていくと、軽貨物という仕事そのものよりも、もっと大きな後悔がありました。
会社選びです。
所属する会社、契約する会社をもっと慎重に選べばよかった。
この話は本当に多く出てきました。
同じ現場で別会社のドライバーと話したら、似たような仕事なのに自分よりかなり高い報酬を受け取っていた。辞めようとしたら違約金を求められた。所属会社が倒産して、報酬を受け取れなかった。通常なら30分ほどかかる場所へ「10分で行け」と言われた。強い口調で詰められた。
ここでは特定の会社名は出しません。出せません。
でも、こういう経験をした人の中には、「人生の時間を無駄にした」と感じている人もいました。
軽貨物をやるかどうか。
それも大事です。
でも、40代のあなたに本当に見てほしいのは、その先です。
どの会社と走るのか。
それで、10年後、20年後の記憶が変わります。
契約の見方については、軽貨物の業務委託契約書で確認したいことにもまとめています。今すぐ全部覚えなくていいです。でも、契約書を読まずに走り出すのは、やっぱり怖いことです。
いい会社の記憶は、単価だけでは残っていなかった
逆に、「あの会社に所属してよかった」と話す人もいました。
そこで出てくるのは、単価だけではありません。
事故を起こしたとき、すぐ助けに来てくれた。困ったときに会社が動いてくれた。車が必要になったとき、格安で貸してくれた。ドライバー本人のために動いてくれることが多かった。
そんな話です。
中には、「会社に品がある」という感覚を持っていた人もいました。
品。
面白い言葉ですよね。
報酬条件の表には出てきません。求人票にも、たぶん書けません。
でも、長く現場を走った人の記憶には、そういうものが残るんです。
仕事を持っているか。困ったときに逃げないか。現実的ではない指示を出さないか。事故やトラブルのとき、ドライバーを一人にしないか。
会社選びというのは、結局そこなのだと思います。
40代は、現場一本でいくかを考える分岐点だった
40代を振り返ったとき、ひとつの分かれ道が見えてきます。
現場ドライバーから、配車、現場管理、会社運営側へ移った人。
あるいは、個人事業主を辞めて、配送会社や運送会社の社員になった人。
そういう人たちは、その後ある程度安定し、その選択を大きく後悔していないケースが見られました。
逆に、年齢を重ねても現場一本で走り続けなければならない状態になると、身体が動かなくなったときに収入の問題が一気に表に出てきます。
これは、「現場ドライバーはダメ」という話ではありません。
現場を知っていることは、とても強いです。荷物の扱いも、道も、時間の読み方も、ドライバーの気持ちも、机の上だけでは分かりません。
ただ、40代になったら一度考えてほしいんです。
この先も、身体だけで稼ぐのか。
それとも、現場を知ったうえで、配車や管理、仕事を作る側にも少しずつ近づいていくのか。
走り続ける人生を否定する必要はありません。
でも、選択肢をひとつしか持たないまま70代を迎えるのは、やっぱり怖い。
走らない働き方については、倉庫内作業や配送管理スタッフという道もあります。今すぐ移るかどうかではなく、「そういう道もある」と知っておくことが大事です。
家族との時間は、ドライバーだから失うわけではなかった
家族の話も出ました。
宅配を長くやっていた人たちからは、「家族との時間を過ごすために、もっと時間を選べる仕事を選べばよかった」という話がありました。
これは、胸に残ります。
荷物を届ける。件数をこなす。遅れないように走る。そうやって家族のために働いていたのに、気づけば家族と過ごす時間がなくなっていた。
でも、ここも単純に「ドライバーは家族との時間を失う」とは言えません。
定期配送やスポットチャーターを中心にしていた人たちは、家族との時間を取ることができ、その点には比較的満足していたという話もありました。
印象的だったのは、長距離チャーターの話です。
遠方への仕事が入ったとき、会社に「家族も車に乗せて行っていいですか?」と聞いた。
会社は「いいよ」と言ってくれた。
それで家族を乗せて長距離チャーターへ行き、仕事として報酬を受け取りながら、家族旅行のような時間を過ごした。
何度か、そういうことがあった。
「楽しかった」
この一言には、仕事の話だけでは片づけられないものがあります。
同じドライバーでも、選ぶ仕事によって人生の景色は変わります。
家族のために働くなら、家族と過ごす時間まで消してしまっていないか。そこは、40代で一度立ち止まっていいところです。
お客様の「ありがとう」と、自分の車を買えた日
では、ドライバーをやっていてよかったことは何だったのか。
この質問への答えは、少しあたたかいものでした。
荷物を届けた先のお客様から、満面の笑顔で「ありがとう」と言われたとき。
それが嬉しかった、という話がありました。
大げさな表彰ではありません。
誰かの生活や仕事に必要なものを届けて、その場で「ありがとう」と言われる。それだけで、ちゃんと働いた気がする。
また、それまでリース車だった人が、初めて自分の車を購入できたときも、非常に嬉しかったという話がありました。
自分の車。
自分で稼いで買った車。
ドライバーにとって、それはただの道具ではなかったのだと思います。
仲間の話もありました。
現場で同じ会社に所属するドライバーと出会い、仕事以外でも遊びに行ったり、酒を飲みに行ったりするようになった。生涯付き合っていける仲間ができた。
これを、軽貨物をやってよかったこととして挙げる人もいました。
だから、「また人生をやり直してもドライバーをやるか」という問いへの答えは、会社によって分かれました。
いい会社に所属していた人は、「同じ会社で、また同じ仲間たちとできるならやりたい」と言う。
悪い会社で苦しんだ人は、「もうやらない」と言う。
仕事そのものより、誰とやったか。
そこが、最後に残るのかもしれません。
もっと勉強しておけばよかった。でも子どもには好きなことをやれと言う
勉強の話も、本当によく出ます。
「若い頃、もっと勉強しておけばよかった」
これは多くの人が口にします。
中には、人生をやり直すなら、子どもの頃からちゃんと勉強して、いい大学に入って、大企業や上場企業に入る人生にする、という趣旨の話をする人もいました。
ところが、です。
自分の子どもに対しては、「好きなことをやれ」「自分が正しいと思ったことをやれ」と言う人が多かった。
不思議ですよね。
自分には、勉強しておけばよかったという後悔がある。
でも、その後悔をそのまま子どもの人生の正解として押し付けてはいない。
これは、格好いいと思いました。
自分の失敗を語ることと、子どもの人生を決めることは別なんです。
70代・80代になっても、人は完全な答えを持っているわけではありません。
ただ、自分の後悔が、誰かにとってそのまま正解になるとは限らない。それをどこかで分かっている。
だから、40代のあなたにも言いたいんです。
親の後悔も、先輩の後悔も、この記事の後悔も、そのまま丸飲みしなくていいです。
ただ、材料にはしてください。
身体の後悔は、腰と目と歯に出てきた
身体の話になると、まず出てくるのは腰です。
「もっと若い頃からストレッチをしておけばよかった」
「もっと腰を大事にすればよかった」
軽貨物は、運転だけの仕事ではありません。乗る、降りる、持つ、運ぶ、待つ、また乗る。その繰り返しです。
長年、軽バンに乗り続けることで身体への負担が蓄積する。だから、車についても「安さだけで選ばず、購入でもリースでも、もう少しいい車にしておけばよかった」という話がありました。
車両は経費です。
でも、同時に身体を預ける場所でもあります。
安く始めることは大事です。ただ、何年も走るなら、身体への負担も見ておきたい。車両選びについては、リースか購入かを考える記事でも触れています。
それから、目。
40代くらいから、暗いところが見えづらくなったという経験談もありました。
夜の運転、雨の日、暗い駐車場、見えづらい伝票。若い頃には気にならなかったものが、少しずつ変わっていく。
そして、特に印象的だったのが歯です。
歯を大事にしなかったことで、年齢を重ねて見た目にも影響が出る。
本人たちは、それを単なる健康問題としてだけ見ていませんでした。
「見た目が悪くなると仕事にも影響する」
「仕事をもらいづらくなる」
そう感じていたんです。
歯は、健康の話であり、身だしなみの話でもある。
高齢になっても仕事を続けるための信用の一部でもある。
だから、40代への一言が「歯医者に行け」になる。
笑ってしまうけれど、たぶん本気です。
元気な人は肉を食べていた、という観察
健康の話でもうひとつ、面白い観察がありました。
比較的元気な70代・80代のドライバーには、肉をよく食べる人が目立つ、という印象です。
ただし、これは医学的な結論ではありません。
肉を食べるから健康である、とこの記事で断定することはできません。
あくまで、長年接してきた中での観察です。
でも、妙に記憶に残ります。
よく食べる。よく笑う。よく文句を言う。まだ少し走りたがる。
そんな人たちの姿です。
酒とタバコの話もありました。年齢を重ねて医師から生活習慣について注意され、「酒かタバコ、どちらかにしなければいけない」という趣旨のことを言われた経験を話す人もいたそうです。
これも医学的一般論としてではなく、その人の経験談として受け止めたいところです。
身体の管理については、軽貨物ドライバーが長く続けるための体の管理にもまとめています。腰、眠気、食事。地味ですが、最後に効いてくるのはそういうところです。
最後に残る人間関係は、思ったより少ない
70代・80代になった人たちからは、人間関係についても印象的な話がありました。
「信頼し合える家族と数人の友達がいればいい」
さらに、「家族だけでも十分」という人もいた。
若い頃は、人間関係を広げることに意味があるように感じます。
知り合いが多い。飲み仲間が多い。仕事のつながりが多い。それが力になる時期もあります。
でも、最後に残るのは、数ではないのかもしれません。
困ったときに本当に連絡できる人。
格好悪いところを見せても関係が切れない人。
自分も、その人が困ったときに助けたいと思える人。
成功した人生とは何か、という話では、「後悔しないことが成功」という考え方が出てきました。
また別の話として、「家族や友達が困っているときに助けてあげられること」「助けてあげられる自分でいること」が成功だ、という考えもありました。
お金があること。
健康でいること。
信頼できる人がいること。
そして、誰かを助けられる自分でいること。
70代・80代の話を聞いていると、成功という言葉が、少し生活に近づいてきます。
昔はいい仕事が多かった、という懐かしさ
ベテランドライバーからは、昔の軽貨物についてもよく聞きました。
「昔はチャーターとかスポットとかで、いい仕事ばっかりだったんだよなあ」
単発でも料金の高い仕事があった。長距離チャーターも比較的あった。そんな話です。
現在は大手宅配系の仕事が目立つ、という認識を持っている人もいました。
ただし、今の軽貨物市場全体についてここで断定するには、別のデータが必要です。
だからこの記事では、「昔はそう感じていたベテランドライバーがいた」という話に留めます。
でも、ここにも大事なことがあります。
仕事の中身は変わります。
時代も変わります。
昔よかった仕事が、今も同じようにあるとは限らない。今きつい仕事が、ずっと同じ形で続くとも限らない。
だからこそ、40代で立ち止まって、次の10年を考える意味があります。
40歳のあなたへ
ここまで読んで、どう感じましたか。
ちゃんと貯金しようと思ったかもしれません。
歯医者に予約を入れようと思ったかもしれません。
いや、100万円あったら自分も遊びに行くな、と思ったかもしれません。
それでいいと思います。
この記事で伝えたいのは、立派な老人のありがたい教えではありません。
70代・80代になっても、人は矛盾します。
貯金しておけばよかったと言いながら、戻ってもまた使ってしまうかもしれない。
もっと勉強しておけばよかったと言いながら、子どもには好きなことをやれと言う。
趣味に金を使いすぎたと後悔しながら、若いうちに趣味はやっておけとも言う。
軽貨物を後悔する人がいる一方で、同じ仲間とならもう一度やりたいと言う人もいる。
人間は、そんなにきれいではありません。
でも、だからこそ聞く価値があります。
40代の今、全部を正しく選ぶことはできないかもしれません。
それでも、少しだけ未来の自分に席を空けておく。
貯金を少し残す。
歯を診てもらう。
腰を伸ばす。
会社をちゃんと選ぶ。
家族との時間を、仕事の種類から考える。
現場だけで終わらない道も、頭のどこかに置いておく。
それだけで、80歳のあなたが今日のあなたに会いに来たとき、少しだけ言葉が変わるかもしれません。
「まあ、全部うまくはできなかったけどな」
そう笑いながら。
でも、そのあとに。
「あのとき、少し考えておいてよかったよ」
そう言ってくれるかもしれません。
この企画について
株式会社オーシャンズは、軽貨物配送に関わる会社として、長年日本の物流や移動を支えてきた先輩ドライバーたちの言葉を残したいと考えています。
これは、若い人を脅すための記事ではありません。
「こうしないと失敗するぞ」と言いたいわけでもありません。
ただ、ハンドルを握って長く働いてきた人たちの後悔や誇りには、今の40代が自分の働き方を考えるための材料があります。
軽貨物を続けるのか。会社を変えるのか。案件を変えるのか。管理や配車に進むのか。少し休むのか。
答えは、人によって違います。
だからこそ、まずは知ることからで大丈夫です。
オーシャンズでは、軽貨物ドライバーの求人や、配送に関わる働き方の相談を受け付けています。今すぐ転職を決める必要はありません。
あなたが70代になったとき、今の自分に何と言うのか。
そこから一緒に考えましょう。