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軽貨物の業務委託契約書、ここだけは見て|失敗しない会社選びのチェックリスト

軽貨物の業務委託契約書、ここだけは見て|失敗しない会社選びのチェックリスト

軽貨物ドライバーとして働くとき、多くの方が最初に見るのは「日給いくらか」です。けれど、実際に苦しくなった人の話を聞いていくと、原因はほぼ例外なく報酬の金額ではなく、契約の中身にあります。辞めたいのに辞められない。仕事が減った理由を教えてもらえない。車のローンだけが残った。こうしたことは、契約書に最初から書いてあったのに読まずにサインした、というケースがほとんどです。

この記事では、東京・江東区で18年にわたり軽貨物配送を続けてきた立場から、業務委託契約書のどこを、どう見ればいいのかを具体的に説明します。これは当社と契約するかどうかとは関係のない話です。どの会社の面談に行くときも、このチェックリストを持っていってください。それがあなたを守ります。

大前提:契約書は「その場でサイン」しない

いちばん大事なことを先に書きます。契約書は持ち帰って読んでください。

面談の場で契約書を出され、その日のうちに署名を求められる。これは軽貨物業界でよくある光景ですが、本来おかしなことです。契約は、双方が内容を理解したうえで結ぶものです。持ち帰って読みたいという申し出を断る理由は、まともな会社にはありません。

「今日決めてくれたら、いい案件を回せる」「他にも希望者がいる」——こうした言葉で急がされたら、それ自体が判断材料です。焦らせる必要があるのは、落ち着いて読まれると困る内容が書いてあるときです。

契約書を事前にもらえるか。この一点だけでも、会社の姿勢はかなり見えます。

2024年11月から、会社には法律上の義務があります

2024年11月1日、フリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行されました。正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。従業員を使わずに個人で仕事を受ける軽貨物ドライバーは、この法律が守る対象になり得ます。

発注する会社側には、主に次の義務が課されています(公正取引委員会)。

会社に義務づけられたことあなたにとっての意味
取引条件を書面等で明示する「口約束だけ」は法律違反の可能性がある
報酬は、給付を受領した日から60日以内のできる限り早い日に支払う「支払いは3か月後」といった極端な後払いは問題になり得る
募集情報を的確に表示する求人広告と実際の条件が違えば問題になり得る
中途解除・不更新は事前に予告し、理由を開示する「明日から来なくていい」は原則できない
報酬の一方的な減額、受領拒否などの禁止勝手な天引きや買いたたきは禁止行為にあたり得る
ハラスメント対策の体制整備、育児介護等への配慮相談できる窓口があるべき

ここで知っておいてほしいのは、「業務委託だから何でも自己責任」という時代ではなくなったということです。以前は泣き寝入りするしかなかったことにも、いまは根拠があります。契約書を読むときは、この法律が求める水準を満たしているかという目で見てください。

契約前チェックリスト18項目

面談前にこの表を印刷するか、スマホに保存していってください。ひとつずつ質問して、答えをその場でメモします。口頭の説明と契約書の記載が食い違っていたら、契約書のほうが優先されます。必ず書面で確認してください。

お金にかかわること

#確認することなぜ大事か
1報酬の単価と計算方法(日給/件数/時給/月極)計算方法が違えば手取りの安定性が変わる
2報酬から差し引かれる項目の全部「聞いていない天引き」がいちばん多いトラブル
3ロイヤリティ・システム利用料・管理費の有無と金額売上に関係なく毎月かかる固定費になる
4ガソリン代の負担は誰か年間で数十万円の差になる
5高速代・駐車場代の負担は誰か案件によっては月2万円以上変わる
6締め日と支払日初回入金まで無収入の期間がある
7インボイス未登録の場合、報酬はどうなるか実質的な減額になる会社がある
8荷物の破損・事故時の負担割合と上限上限のない自己負担は非常に危険

車両にかかわること

#確認することなぜ大事か
9車両はリースか、持ち込みか、貸与か「貸与(会社持ち)」と「リース(あなたの債務)」は全く別物
10リースの場合、契約年数・月額・総支払額総額で見ると車が買える金額になることがある
11辞めたあと、リース債務はどうなるか仕事を辞めても支払いだけ残る契約が実在する
12任意保険は誰が加入し、誰が払うか。補償内容は事業用は自家用より高く、補償が薄い契約もある
13車両の私的利用が可能か「配送以外の使用禁止」だと生活に影響する

働き方と契約の終わり方

#確認することなぜ大事か
14最低契約期間と、途中解約時の違約金合わないと感じても辞められなくなる
15契約解除の予告期間と、理由の説明があるかフリーランス法が求める水準を満たしているか
16案件がなくなったときの取り扱い(別案件の紹介など)荷主都合で仕事が消えることは実際にある
17競業避止の条項(辞めたあと同業で働けるか)範囲が広すぎる条項は生活を縛る
18相談窓口・担当者が明記されているか困ったときに誰に言えばいいかが決まっているか

とくに危ない3つのパターン

1. 車両リースの残債が、辞めたあとも残る

もっとも被害が大きいのがこれです。「車両は用意します」と言われて始めたら、実態はあなた個人名義のリースやローンだった。仕事が合わずに辞めたら、仕事はないのに毎月の支払いだけが数年分残る。

確認の仕方は簡単です。「この車の契約は、誰の名義ですか」「私が辞めたら、この支払いはどうなりますか」と聞いてください。会社名義の貸与なら「返してもらうだけです」と即答できます。答えが濁ったら、その場では決めないでください。

2. 天引きの項目が、契約書に書かれていない

報酬から引かれるものは、ガソリン代だけとは限りません。管理費、システム利用料、保険料、備品代、研修費。会社によっては合計で月数万円になります。

「報酬から引かれるものを、全部書き出してもらえますか」と頼んでください。書面で出せない会社は避けたほうが無難です。フリーランス法は取引条件の明示を義務づけています。

3. 違約金つきの長期契約

「2年未満で辞めたら違約金30万円」といった条項です。合わない仕事を続けさせる仕組みであり、あなたの選択肢を奪います。

契約期間そのものが悪いわけではありません。問題は金額の妥当性と、説明があったかどうかです。研修に実費がかかっているなら、その根拠を聞けば納得できる説明が返ってくるはずです。

面談で聞いておきたい5つの質問

  • 「契約書を今日持ち帰って読ませてもらえますか」——断られたら、それが答えです。
  • 「報酬から引かれるものを、全部教えてください」——即答できるか、書面があるかを見ます。
  • 「この案件で稼働している方の、1か月の経費はどれくらいですか」——答えられない会社は、ドライバーの実情を見ていません。
  • 「同じ案件を、いま何名が何年続けていますか」——定着率は条件の良し悪しがいちばん正直に出ます。
  • 「仕事で困ったとき、誰に相談すればいいですか」——窓口が決まっていない会社は、困ったときも決まっていません。

もし、もめてしまったら

契約したあとにトラブルになった場合、一人で抱え込まないでください。無料で相談できる公的な窓口があります。

フリーランス・トラブル110番(厚生労働省委託事業・第二東京弁護士会運営)は、報酬の未払い、あいまいな契約、ハラスメントなどの相談を無料・匿名でも受け付けています。電話は 0120-532-110(平日9:30〜16:30)、メールやビデオ通話でも相談できます。詳しくは公式サイトをご確認ください。

相談したからといって、すぐに争いになるわけではありません。「これは普通のことなのか」を確かめるだけでも使えます。知っておくだけで、追い詰められ方が変わります。

よくある質問

契約書をもらえず、口約束だけで働き始めてしまいました。どうすればいいですか?

まず、いま分かっている取引条件(単価、支払日、負担する経費など)を書面かメールで出してもらうよう会社に依頼してください。フリーランス法は取引条件の明示を発注者の義務としています。応じてもらえない場合は、上記の相談窓口に状況を伝えてください。

契約書の言葉が難しくて、読んでも意味が分かりません。

分からないまま署名するのがいちばん危険です。「この条文は、具体的にどういう場面で使われますか」と会社に聞いてください。実例で説明できない条項は、会社側も理解していないか、説明したくないかのどちらかです。

「業界ではこれが普通です」と言われました。本当ですか?

「普通かどうか」は判断基準になりません。あなたが納得できるかどうかです。他社の面談にも行って、同じ質問をしてみてください。2社3社と比べれば、その会社の説明が本当に業界標準なのかが分かります。

今の会社の契約に不安がありますが、辞めると仕事がなくなるのが怖いです。

すぐに辞める必要はありません。まず契約書を読み返し、解約の予告期間と違約金の有無を確認してください。そのうえで、次の選択肢を探しながら準備を進めるのが現実的です。契約内容を把握しておくこと自体が、交渉の材料になります。

まとめ:読めるようになれば、選べるようになる

軽貨物の仕事そのものは、決して悪い仕事ではありません。問題が起きるのは、条件を確認しないまま始めてしまったときです。逆に言えば、契約書を読み、聞くべきことを聞けるようになれば、危ない会社はほぼ避けられます。

私たち株式会社オーシャンズは、東京・江東区で18年、軽貨物配送を続けてきました。その間ずっと見てきたのは、「聞いていた話と違った」という理由で業界を去っていくドライバーの姿です。だから私たちは、入る前に全部お見せすることを大切にしています。このチェックリストを当社にぶつけていただいて、まったく構いません。

そのうえで、私たちの案件も見てみたいと思っていただけたなら、いつでもご連絡ください。

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※本記事の法制度に関する記述は、記事作成時点の公表情報にもとづく一般的な説明です。個別の契約に関する判断は、上記の相談窓口や弁護士等の専門家にご確認ください。