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配送中に事故を起こしたら|軽貨物ドライバーの補償・自己負担・その場でやること

配送中に事故を起こしたら|軽貨物ドライバーの補償・自己負担・その場でやること

考えたくない話ですが、毎日車に乗る以上、事故の可能性はゼロにできません。そして軽貨物ドライバーの場合、事故が起きたときに何が起こるかは、会社員とはまったく違います。

業務委託は個人事業主です。労災は自動では使えません。荷物を壊せば弁償の話になります。車が動かなければ、その間の収入はありません。

この記事では、東京・江東区で18年軽貨物配送を続けてきた立場から、事故が起きたときに何が必要になるのか、契約前に何を確認しておくべきかを整理します。読んでおくかどうかで、いざというときの結果が変わります。

まず、事故直後にやること

頭が真っ白になる場面です。順番だけ覚えておいてください。

順番やること補足
1負傷者の救護道路交通法で定められた義務。最優先
2危険防止の措置車を安全な場所へ、ハザード、三角表示板
3警察へ届け出る物損でも必須。届け出ないと交通事故証明書が出ない
4会社へ連絡荷物と配送の手配が必要。隠さない
5保険会社へ連絡その場で相手と示談しない
6記録を残す相手の連絡先、車両番号、現場写真

とくに3番です。「相手が急いでいるから」「軽い接触だから」と警察を呼ばずに済ませると、後で保険が使えなくなります。交通事故証明書がないと、保険金の請求ができないことがあります。

そして4番。会社への連絡を遅らせないでください。荷物が届かないことによる影響は、時間が経つほど大きくなります。言いにくいのは分かりますが、隠すことで失うもののほうがはるかに大きい。

補償は4つに分かれています

「保険に入っているから大丈夫」と思っていても、何がカバーされるかは別です。4つの領域があり、それぞれ別の保険で備えます。

何を壊したか備える保険注意点
相手のケガ・死亡自賠責保険+任意保険(対人賠償)自賠責だけでは足りない。任意保険は必須
相手の車・物任意保険(対物賠償)建物やシャッターに当てると高額になる
自分の車任意保険(車両保険)付けていない契約が多い
運んでいた荷物貨物保険(運送業者向け)任意保険では原則カバーされない

いちばん見落とされるのが4番目の荷物です。自動車保険は「車の事故」に備えるもので、積んでいた荷物の弁償は対象外なのが一般的です。精密機器や医療機器を運んでいて全損させた場合、金額は想像を超えます。

そして3番目の自分の車。車両保険は保険料が上がるため外している方が多いのですが、外していれば自損事故の修理費は全額自己負担です。修理中は走れないので、その間の収入もありません。

労災は「自動では」使えません

会社員なら、業務中のケガは労災保険で治療費も休業補償もカバーされます。業務委託のドライバーは労働者ではないため、労災が自動適用されません。

ただし、個人で貨物運送を行う方は労災保険の特別加入ができます。労働保険事務組合などに事務処理を委託して申請し、都道府県労働局長の承認を受ける形です(厚生労働省)。

特別加入していない特別加入している
業務中のケガの治療費健康保険または自己負担労災保険から給付
働けない間の補償なし休業補償がある
後遺障害が残った場合自己負担障害給付がある

月々の掛金はかかりますが、働けなくなったときに収入がゼロになるリスクを考えれば、検討する価値は十分にあります。加入の案内をきちんとしてくれる会社かどうかは、その会社の姿勢を測る良い物差しでもあります。

契約前に必ず確認すること

事故は起きてから調べるのでは遅すぎます。契約の時点で聞いておいてください。

確認することなぜ大事か
任意保険は誰が加入し、誰が払うか会社加入なら補償内容を見せてもらう
対人・対物の補償額は無制限か上限があると足が出る
車両保険は付いているか自損事故のとき自己負担かが決まる
荷物の破損は誰がどこまで負担するか上限のない自己負担は非常に危険
貨物保険に入っているか入っていなければ全額自己負担になり得る
免責金額はいくらか保険が出ても自己負担が残る部分
事故で走れない間、案件はどうなるか復帰できるのか、切られるのか
労災特別加入の案内はあるか安全への姿勢が表れる

とくに荷物の破損です。「実費負担」とだけ書かれていて上限がない契約は危険です。「いくらまでですか」と必ず聞いてください。契約書の見方はこちらの記事にまとめています。

事故のあとの対応で、会社の本性が出ます

18年この業界にいて、はっきり言えることがあります。会社の姿勢がいちばん表れるのは、事故が起きたときです。

良くない対応あるべき対応
連絡した途端に責めるまず状況と本人の安否を確認する
何も言わずに案件から外す復帰の見通しを一緒に考える
全額を個人に負わせる保険の適用範囲を説明する
「自己責任だから」で終わらせる再発防止を一緒に考える

事故を起こしたドライバーがいちばん怖いのは、怒られることではなく、見捨てられることです。だから隠す。隠すから問題が大きくなる。この悪循環を断てるかどうかは、会社側の姿勢にかかっています。

面談で「事故が起きたとき、御社はどう対応されますか」と聞いてみてください。具体的な手順が返ってくるか、「気をつけてください」で終わるかで、だいたい分かります。

そもそも起こさないために

当たり前のことばかりですが、事故の原因はたいてい当たり前のところにあります。

  • 時間に追われない案件を選ぶ。件数を追う働き方は、焦りを生みます。急がなくていい案件を選ぶこと自体が予防策です。
  • 眠い日は走らない。「少し疲れているけど大丈夫」がいちばん危ない。1日休むより、事故のほうが圧倒的に高くつきます。
  • 日常点検を習慣にする。タイヤの空気圧、ブレーキ、灯火類。1分で終わります。
  • 荷崩れ対策をする。急ブレーキで荷物が飛ぶと、それ自体が事故になります。
  • バック時は降りて確認する。物損事故で多いのが、駐車場でのバック時の接触です。

とくに1番目です。案件の選び方が、そのまま事故のリスクにつながっています。件数に追われない働き方については案件タイプ比較の記事をご覧ください。

よくある質問

物損事故でも警察を呼ばないといけませんか?

はい。道路交通法上、事故の報告は義務です。また、警察に届け出ないと交通事故証明書が発行されず、保険金の請求ができなくなることがあります。相手から「警察はいいです」と言われても、必ず届け出てください。

荷物を落として壊してしまいました。全額弁償ですか?

契約と保険の内容によります。まず会社に連絡し、貨物保険が使えるかを確認してください。その場で「弁償します」と言う前に、契約書の負担割合と上限を確認することをおすすめします。

健康保険は業務中のケガに使えますか?

業務上の負傷は、原則として健康保険の給付対象外とされています。労災の特別加入をしていない場合、扱いが宙に浮くことがあります。だからこそ特別加入の検討が必要です。判断に迷う場合は、加入している保険者にご確認ください。

事故を起こしたら、契約を切られますか?

会社によります。フリーランス法では、中途解除・不更新について事前の予告と理由の開示が義務づけられています。何の説明もなく一方的に切られた場合は、フリーランス・トラブル110番(無料・匿名可/0120-532-110)に相談できます。

車の修理中、収入がゼロになりますか?

自分の車が動かなければ、その通りです。代車制度がある会社かどうかを、契約前に確認してください。車両を会社が貸与している案件なら、この心配自体がなくなります。

まとめ:起きる前に決めておく

事故は、起きてから調べるものではありません。誰が、どこまで、いくら負担するのか。走れない間どうなるのか。これを契約の時点で決めておくことが、唯一の備えです。

そして、備えを説明できる会社かどうかが、そのまま会社選びの判断材料になります。

株式会社オーシャンズは、東京・江東区で18年、軽貨物配送を続けてきました。事故が起きたとき、まず本人の無事を確認し、次に事実を確認し、それから一緒に方法を考えます。責めることから始めません。当社の姿勢についてはこちらの記事に書いています。

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※本記事は記事作成時点の一般的な説明です。保険の適用範囲は契約内容により異なります。個別の判断は保険会社・所轄の労働局・専門家にご確認ください。