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台風で車が水に浸かったら。軽貨物ドライバーが最初に確認してほしいこと

台風で車が水に浸かったら。軽貨物ドライバーが最初に確認してほしいこと

台風や大雨のあと。

水が少し引いて、やっと車のところまで行けるようになる。車体の外側を見ると、思ったより大丈夫そうに見える。

「エンジン、かかるかな」

そう思って、キーを回したくなる。ボタンを押したくなる。

その気持ちは、痛いほど分かります。

軽貨物ドライバーにとって、車は仕事道具です。車が動くかどうかで、明日の仕事も、収入も、生活の段取りも変わってしまいます。だから、一刻も早く確かめたくなる。

でも、もし車が水に浸かった可能性があるなら、最初に覚えておいてください。

自分でエンジンをかけないでください。

見た目が大丈夫そうでも、です。

国土交通省は、浸水・冠水した車両について、外観上問題がなさそうでも感電事故や電気系統のショートによる車両火災のおそれがあるとして、まず「自分でエンジンをかけない」よう案内しています。JAFも、各部の点検を行うまではエンジンを始動させないよう注意しています。

この記事は、車が水に浸かった軽貨物ドライバーに向けて書いています。

いま被害の中にいる人にも、これからの備えとして読んでいる人にも、落ち着いて順番に確認できるようにまとめます。

まず、自分の安全を確保してください

車のことが気になると思います。

荷物のことも、仕事のことも、会社への連絡も、頭に浮かぶと思います。

でも、最初はあなたの安全です。

まだ周りに水が残っているなら、無理に車へ近づかないでください。濁った水の下には、側溝、段差、外れたマンホール、流れてきた物が隠れていることがあります。足元が見えない水の中を、急いで歩くのは危険です。

車の中にまだ水がある。駐車場の水が引ききっていない。電線や倒木が近くにある。ガソリンや油のにおいがする。

そういうときは、近づかず、まず安全な場所にいてください。

車を守りたい気持ちは分かります。

でも、車のためにあなたがケガをしたら、もっと大きな問題になります。

エンジンをかけない。ここが最初の分かれ目です

水が引いたあと、車の外側だけを見ると「いけるかも」と思うことがあります。

ドアが開く。ライトも見た目は割れていない。車内も完全には濡れていないように見える。そうすると、つい動かして安全な場所に移したくなります。

でも、浸水した車は、外から見ただけでは中の状態が分かりません。

水が電気系統に入っているかもしれません。エンジン内部に水が入っているかもしれません。ブレーキまわりに異常が出ているかもしれません。しばらくしてからショートや発火につながることもあります。

JAFは、車内まで冠水した車について、電装系のショート、エンジン破損、ブレーキ機構の異常のおそれがあるとして、点検までエンジンを始動させないよう案内しています。

国土交通省も、水に浸った車両は、外観上問題がなさそうでも感電事故や車両火災のおそれがあるとしています。特にハイブリッド車や電気自動車は高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみに触らないことが大切です。

つまり、ここです。

「動くか試してみる」ではなく、「動かす前に相談する」。

この順番を間違えないでください。

安全な場所から、写真と状況を残してください

次に、記録です。

ただし、危ない場所に入ってまで撮る必要はありません。安全な場所からで大丈夫です。

撮っておきたいのは、できればこのあたりです。

  • 車全体が分かる写真
  • 水がどの高さまで来ていたか分かる写真
  • 車内に水が入った跡がある場合、その部分
  • ナンバープレート
  • 駐車していた場所の周辺
  • 荷物を積んでいた場合、荷室の状態

水位の跡がドアやタイヤ、荷室に残っていることがあります。あとから説明するときに、写真があると話が早くなります。

保険会社、リース会社、整備工場、会社、荷主さん。状況を伝える相手は複数になるかもしれません。

そのときに「どのくらい水に浸かったのか」が分かるだけで、次の判断がしやすくなります。

スマホの充電が少ないときは、写真を撮りすぎないでください。連絡用の電池も残しておきたいです。モバイルバッテリーがあるなら、こういうとき本当に助かります。

連絡は、一人で抱えず順番に

車が水に浸かったと分かったら、連絡する相手がいくつかあります。

焦ると、誰に何を言えばいいか分からなくなりますよね。

まずは、仕事に関係する連絡です。

稼働中、または翌日の仕事が決まっているなら、会社や担当者に早めに伝えてください。

「車が浸水した可能性があります」

「エンジンはかけていません」

「現在、場所と状況を確認しています」

「今日の配送に影響が出る可能性があります」

これくらいで大丈夫です。きれいな文章にしなくていいです。

大事なのは、黙って一人で何とかしようとしないことです。

次に、保険会社やロードサービス、整備工場への連絡です。JAFや販売店、整備工場など、車を安全に扱えるところへ相談してください。自動車保険にロードサービスが付いている場合もあります。

リース車両、レンタル車両、会社貸与の車両なら、勝手に動かす前に、契約先や会社へ必ず確認してください。契約によって連絡先や手順が違います。

配送中だったら、荷物のことも早めに伝える

もし配送中に冠水や浸水に遭った場合、車だけでなく荷物のこともあります。

荷物が濡れていないか。納品時間に間に合うのか。別の車で引き継げるのか。荷主さんや届け先へどう伝えるのか。

こういう判断を、ドライバー一人で背負わないでください。

配送の現場では、責任感の強い人ほど「自分で何とかしなきゃ」と思います。

でも、車が水に浸かったかもしれない状況で、荷物を届けるために無理をして動かすのは危険です。車にも、人にも、荷物にも、さらに大きな問題が出るかもしれません。

だから、まず会社や担当者に状況を伝えてください。

「荷物は積んだままです」

「荷室に水が入ったかもしれません」

「このまま車を動かしていいか判断できません」

そう言っていいです。

言いにくいかもしれませんが、早く言ってもらったほうが、会社も次の手を考えられます。別の車を手配するのか、納品先へ連絡するのか、荷物の状態を確認するのか。時間が経つほど選択肢は減ります。

「車が止まったら収入も止まる」が怖い

ここが、軽貨物ドライバーにとって本当にきついところです。

車が動かなければ、仕事に出られません。仕事に出られなければ、収入が止まります。修理費、レッカー代、代車、保険の免責。考えるだけで、胃が重くなると思います。

だからこそ、普段から確認しておいてほしいことがあります。

確認することなぜ必要か
車両保険の有無水害が対象になるか、自己負担がいくらかが変わります
ロードサービスの連絡先いざというとき、すぐに動けます
代車の条件修理中に仕事を続けられるかに関わります
リース・貸与車両の連絡手順勝手に動かすと契約上の問題になることがあります
荷物の破損・濡損時の扱い誰に、どの順番で報告するか決めておく必要があります

保険の対象になるかどうかは、契約内容によって違います。

「たぶん出るだろう」ではなく、今のうちに証券や契約内容を見てください。分からなければ、保険会社や代理店に聞いてください。

水害のあとに初めて確認すると、ただでさえ大変なときに、さらに焦ります。

備えは、事故や災害が起きていない日にしか、落ち着いてできません。

次の大雨の前に、駐車場所を見直してください

今回、被害を見ていてあらためて感じたのは、駐車場所の大切さです。

自宅の前。月極駐車場。倉庫の近く。現場の近く。いつも停めている場所が、実は低い土地かもしれません。

大雨の前にできることがあります。

  • 自治体のハザードマップを見る
  • 駐車場が低い場所にないか確認する
  • 大雨前に移動できる候補地を考えておく
  • 冠水しやすいアンダーパスや川沿いの道を避けるルートを決めておく
  • 車検証、保険証券、リース契約の連絡先をスマホでも見られるようにしておく

台風が近づいてから探すと、みんな同じように動きます。安全そうな駐車場がいっぱいになることもあります。

だから、何も起きていない日に考えておく。

「もしこの駐車場が危なかったら、どこへ移すか」

それだけでも、次の行動が変わります。

会社選びでも、災害時の対応を聞いていい

これから軽貨物の仕事を探す人にも、伝えておきたいことがあります。

報酬や時間だけでなく、災害や事故のときにどう対応する会社なのか。そこも見てください。

面談で、こう聞いていいです。

「車が水没した場合、誰に連絡すればいいですか」

「会社貸与の車両の場合、災害時の手順はありますか」

「走れなくなったとき、代車や別案件の相談はできますか」

「荷物が濡れた場合の報告手順は決まっていますか」

こういう質問を嫌がる会社なら、少し考えたほうがいいかもしれません。

毎日車で走る仕事です。災害や事故の話は、縁起でもない話ではありません。仕事を続けるために必要な話です。

事故や補償については、配送中に事故を起こしたときの記事にもまとめています。面談で何を聞けばいいか迷う方は、面談当日に聞いておきたいことの記事も読んでみてください。

今日、車が水に浸かったあなたへ

もう一度だけ、順番を置いておきます。

まず、自分の安全を確保する。

車に無理に近づかない。

エンジンをかけない。

安全な場所から写真を残す。

会社や担当者に連絡する。

保険会社、ロードサービス、整備工場へ相談する。

荷物があるなら、一人で判断せず早めに伝える。

これで大丈夫です。

全部を完璧にやろうとしなくていいです。まず、危ないことをしない。次に、状況を伝える。その順番です。

昨日の記事にも書きましたが、災害はいつ来るかわかりません。だからこそ、会社としても、仲間を支えられる力を持たなければいけないと思っています。佐倉市の浸水被害を受けて書いた記事にも、その思いを残しました。

オーシャンズでは、車両のこと、現場のこと、困ったときの動き方も含めて、一緒に考えられる会社でありたいと思っています。

仕事を探している方は、条件だけでなく、こういうときに相談できる会社かどうかも見てください。気になる方は、募集中の求人をご覧ください。まず話を聞きたい方は、お問い合わせからでも大丈夫です。

参考:JAF「車内まで冠水した自動車の扱いと対処方法」、JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」、国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」、国土交通省 自動車不具合情報ホットライン「水深が床面を超えたら、もう危険!」