- 軽貨物ドライバーへの転職 2026.09.07
会社員のまま副業で軽貨物|就業規則・20万円ルール・住民税の実務
「軽貨物に興味はあるが、いきなり会社を辞めるのは怖い」
この相談がいちばん多く、そしていちばん健全だと思っています。収入を途切れさせずに試せるなら、それに越したことはありません。
実際、副業として軽貨物を始めることはできます。ただし、会社員が副業をするときには、知っておかないと後で困ることが3つあります。就業規則、確定申告、住民税です。
この記事では、東京・江東区で18年軽貨物配送を続けてきた立場から、その実務を整理します。
その1:まず就業規則を確認してください
すべての出発点はここです。勤務先が副業を認めているか。
| 規定の書き方 | 意味 |
|---|---|
| 副業を許可(届出制) | 届け出れば可能。まず申請する |
| 副業を許可(許可制) | 事前の承認が必要 |
| 副業を禁止 | 就業規則違反になり得る |
| 記載がない | 人事に確認する。黙って始めない |
近年は副業を認める会社が増えていますが、「認めている」と「無条件でよい」は別です。同業他社での勤務を禁じる規定や、本業に支障が出た場合の規定があることがあります。
軽貨物で特に注意したいのは長時間労働と睡眠です。本業のあとに深夜まで走って、本業でミスをする。これは規定以前の問題になります。
その2:確定申告の「20万円ルール」
よく聞く話ですが、正確に理解している方は多くありません。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら、所得税の確定申告は不要とされています。ここで大事なのは「所得」であって「売上」ではないという点です。
| 計算 | |
|---|---|
| 売上(受け取った報酬) | 100万円 |
| 経費(ガソリン・車両・保険など) | ▲85万円 |
| 所得 | 15万円 → 申告不要の範囲 |
逆に、経費がほとんどかからない案件で売上30万円なら、所得も30万円に近くなり、申告が必要になります。売上の額ではなく、経費を引いた後で判断してください。
ただし、ここに落とし穴があります
所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要です。20万円ルールは所得税の話であって、住民税には適用されません。
「20万円以下だから何もしなくていい」と考えて放置すると、住民税の申告漏れになります。金額にかかわらず、お住まいの市区町村へ申告してください。
その3:会社に知られる経路は、ほぼ住民税です
副業が会社に知られる原因として、いちばん多いのが住民税です。
会社員の住民税は、通常特別徴収といって給与から天引きされます。このとき市区町村から会社へ「この人の住民税はいくら」という通知が届きます。副業の所得が加算されて住民税が増えていると、給与額と合わない金額が会社に見えます。
対処法
確定申告書には、住民税の納付方法を選ぶ欄があります。ここで「自分で納付(普通徴収)」を選べば、副業分の住民税は自宅に納付書が届き、給与天引きとは分けられます。
- 事業所得や雑所得については、普通徴収を選択できるのが一般的です
- ただし自治体の運用により、必ず分けられるとは限りません
- 確実を期すなら、申告前に市区町村の住民税担当に確認してください
そもそも、就業規則で認められているなら隠す必要はありません。届け出て堂々とやるのがいちばん安全です。
副業として成立する案件の条件
制度の話が終わったので、実務に移ります。本業がある人にとって、軽貨物のすべての案件が現実的なわけではありません。
| 条件 | なぜ |
|---|---|
| 稼働日を選べる | 本業のシフトと重ねられない |
| 半日または数時間で終わる | 睡眠時間を削らずに済む |
| 車両を用意しなくていい | 試す段階で車を買うのはリスクが高い |
| 経費がかからない | 少ない稼働だと経費倒れしやすい |
| やめやすい | 合わなかったときに本業へ戻れる |
この5つを満たす案件を選べば、収入を途切れさせずに、リスクを抑えて試せます。
具体的にどんな案件か
- スポット便・チャーター便——稼働日を相談できる。週数日から
- 夕方から深夜の案件——日中が本業の方向け。Wワーク歓迎の募集あり
- 午後の企業配——半日。時給制なので待機も報酬になる
- 近距離準ルート配送——9:30〜12:30で終了。土日祝休み
副業から本業に切り替えるとき
試してみて「これでやっていける」と判断したら、本業に切り替える段階が来ます。ここで注意してほしいのが、辞めた翌年の税金です。
会社を辞めると、会社員時代の所得で計算された住民税と国民健康保険料が請求されます。収入が下がっているのに請求は前年基準。年70万円前後になることもあります。
副業をしている今のうちに、この分を積み立てておいてください。辞めてからでは遅い。詳しくは1年目に来る「去年の税金」をご覧ください。
よくある質問
副業でも開業届は必要ですか?
継続的に事業として行うなら、開業届を出すのが原則です。青色申告承認申請書もあわせて提出すれば、最大65万円の控除が使えます。ただし副業の規模や本業との関係で扱いが変わることがあるので、判断に迷う場合は税務署にご相談ください。
黒ナンバーは副業でも必要ですか?
必要です。事業として貨物を運ぶなら、副業か本業かにかかわらず貨物軽自動車運送事業の届出と黒ナンバーが必要になります。手続きはこちらの記事にまとめました。
会社の車で通勤して、そのまま配送はできますか?
できません。事業用の車両(黒ナンバー)でなければ、貨物の運送はできません。自家用車での有償運送は問題になります。会社が車両を貸与する案件を選ぶのが現実的です。
本業が忙しく、週1日くらいしか動けません。
週1日から相談できる案件もあります。ただし、定期の案件は「入ると決めた日は確実に走れること」が前提です。急な残業が読めない働き方なら、スポット便のほうが向いています。
副業でどれくらい稼げますか?
稼働時間によります。半日稼働なら日給4,000〜12,000円前後が目安です(案件により異なります)。ただし経費を自己負担する案件だと、少ない稼働では経費倒れになります。副業で試すなら、経費のかからない案件を選んでください。
まとめ:辞めずに試せるなら、そのほうがいい
軽貨物が自分に合うかどうかは、やってみないと分かりません。だからこそ、収入を途切れさせずに試せる副業という形は、いちばん賢い入り方です。
確認することは3つ。就業規則。確定申告は所得で判断(住民税の申告は別途必要)。住民税は普通徴収を選べるか。
株式会社オーシャンズは、東京・江東区で18年、軽貨物配送を続けてきました。「まず週に数日から」というご相談も歓迎です。詰め込むご提案はしません。本業に支障が出ては本末転倒だからです。
※本記事は記事作成時点の一般的な説明です。申告の要否や住民税の取り扱いは個人の状況・自治体により異なります。判断は所轄の税務署・市区町村・税理士等にご確認ください。