Oceans express

BLOG

軽貨物1年目に必ず来る「去年の税金」|住民税と国民健康保険で詰まらないために

軽貨物1年目に必ず来る「去年の税金」|住民税と国民健康保険で詰まらないために

軽貨物を始めた方から、開業して数か月後にいちばん多く聞く言葉があります。

「こんな請求が来るなんて聞いていなかった」

会社を辞めて独立した1年目、収入はまだ安定していません。それなのに、会社員時代の高い所得をもとに計算された住民税と国民健康保険料の請求が、まとめてやってきます。これで資金が尽きて、せっかく始めた仕事を辞めてしまう方が実際にいます。

この記事では、東京・江東区で18年軽貨物配送を続けてきた立場から、1年目に何が、いつ、どれくらい来るのかを整理します。知っていれば準備できます。知らないと詰みます。

なぜ収入が下がったのに請求が高いのか

理由は単純です。住民税も国民健康保険料も、「前年の所得」をもとに計算されるからです。

計算のもとあなたの1年目
所得税その年の所得収入に応じて下がる
住民税前年の所得会社員時代の額で計算される
国民健康保険料前年の所得会社員時代の額で計算される
国民年金定額所得に関係なく一定

会社員のときは、住民税は毎月の給与から天引き(特別徴収)され、健康保険料は会社が半分負担していました。独立するとこの2つが、両方とも自分あての請求書になって届きます。

いつ、何が届くのか

時期届くもの納め方
退職直後住民税の残り(一括徴収されることも)最後の給与から差し引かれる場合がある
6月ごろ住民税の納付書年4回払い(6月・8月・10月・翌1月)が一般的
6月ごろ国民健康保険料の通知年8〜10回に分けて納付
毎月国民年金の納付書月々(前納で割引あり)
翌年2〜3月所得税の確定申告・納付自分で計算して納める

※自治体により時期や回数は異なります。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

6月が山です。住民税と国民健康保険の通知が同じ時期に来ます。ここで一気に現実を突きつけられます。

どれくらいの額になるのか

会社員時代の年収が400万円だった方が、6月以降に負担することになる金額の目安です。

項目年額の目安備考
住民税(前年所得ベース)16万〜18万円前後年4回に分割
国民健康保険料(前年所得ベース)30万〜40万円前後自治体差が大きい
国民年金(令和8年度 月17,920円)約21.5万円定額
合計の目安年70万円前後月あたり約6万円

※あくまで概算です。扶養家族の有無、自治体の料率、控除の適用で大きく変わります。国民年金額は日本年金機構による令和8年度の額です。

月6万円。これが、収入がまだ安定していない時期に、経費とは別にのしかかります。日給の話ばかりしていると、この部分がまるごと視界から消えます。

だから、いくら用意しておくべきか

開業前に確保しておきたい資金を、目的別に整理します。

用途目安理由
初回入金までの生活費1.5〜2か月分締め日と支払日の関係で、走り始めてから1か月半以上あくことがある
前年分の税・保険70万円前後会社員時代の所得で計算される分
車両・開業の初期費用案件による会社が車両を負担する案件なら不要
予備費数十万円車の故障、体調不良など

「そんなに用意できない」という方は多いと思います。そこで現実的な打ち手が2つあります。

打ち手1:経費のかからない案件から始める

車両・ガソリン代・保険を会社が負担する案件なら、開業の初期費用と毎月の経費がほぼゼロになります。手元の資金を、税金と生活費に回せます。詳しくは経費0・ロイヤリティ0の記事をご覧ください。

打ち手2:辞める前から積み立てておく

会社を辞める前の数か月間、「来年払う税金の分」として毎月積み立てておく。これができれば、1年目の6月を落ち着いて迎えられます。辞めてからでは遅いので、辞める前に読んでいる方はぜひこれをやってください。

払えないときは、放置しないでください

いちばんやってはいけないのが、納付書を封筒のまま置いておくことです。放置すると延滞金がつき、最終的には財産の差押えに至ることがあります。

そうなる前に、必ず窓口へ行ってください。

困っていること相談先あり得る対応
住民税が払えない市区町村の税務課分割納付の相談、猶予制度
国民健康保険料が払えない市区町村の国保担当減免・軽減制度、分割納付
国民年金が払えない年金事務所・市区町村免除・納付猶予制度

とくに国民年金には免除・納付猶予の制度があります。所得が少ない場合に申請できるもので、未納のまま放置するのと、免除を申請するのとでは、将来の年金額も障害年金の扱いもまったく変わります。「払えないから放っておく」がいちばん損です。

国民健康保険料にも、所得が一定以下の場合の軽減や、事情に応じた減免の制度があります。制度の名称や条件は自治体により異なるので、まず窓口で「今こういう状況です」と伝えてください。言わなければ何も始まりません。

2年目からは、また状況が変わります

2年目は、前年(=独立1年目)の所得をもとに計算されるので、収入が下がっていれば住民税も国保料も下がります。1年目を乗り切れば、負担は現実的な水準に落ち着きます。

逆に、順調に売上が伸びた場合は、翌年の請求が上がります。また、所得税の額によっては予定納税といって、翌年分の所得税を前払いする仕組みの対象になることもあります。

いずれにせよ、「稼いだ年の翌年に払う」という時間差があることを覚えておいてください。売上が良かった年ほど、翌年のために取り分けておく必要があります。経費と税金の全体像は確定申告の記事にまとめています。

よくある質問

会社を辞めるとき、健康保険はどうすればいいですか?

国民健康保険に加入するほか、前の会社の健康保険を任意継続する選択肢もあります。どちらが安いかは、扶養家族の人数と前年所得により変わります。任意継続には申請期限がありますので、退職前に両方の保険料を試算して比べてください。

住民税を退職時に一括で引かれました。二重に払うことになりませんか?

なりません。退職時に一括徴収されたのは、その年度分の残りです。ただし、翌年度分は改めて6月に請求が来ます。ここを「もう払った」と勘違いする方が多いので、注意してください。

開業したら、すぐに収入が下がることを申告できませんか?

住民税は前年所得で確定しているため、原則として下げることはできません。ただし国民健康保険料は、廃業や失業などの事情によって軽減が受けられる場合があります。該当するかどうかは自治体の窓口でご確認ください。

いくら稼げば、税金を払っても手元に残りますか?

売上ではなく、経費を引いた後の所得で考えてください。経費を会社が負担する案件なら、同じ売上でも残る額が大きく変わります。具体的な計算は手取りの記事をご覧ください。

これを知って、始めるのが怖くなりました。

正直に言えば、それが正しい反応です。そして、怖さの正体が分かっている人は準備ができます。何も知らずに始めて6月に驚くより、はるかに良い状態です。

まとめ:1年目の6月を、無防備で迎えない

軽貨物で失敗する原因は、仕事が続かないことよりも、お金の時間差で詰まることのほうが多いと感じています。走れているのに、去年の税金が払えなくて辞める。これほどもったいないことはありません。

必要なのは3つだけです。いつ来るかを知る。いくらか計算する。先に取り分けておく。

株式会社オーシャンズは、東京・江東区で18年、軽貨物配送を続けてきました。面談では、この話を必ずします。入ってから驚かれるより、入る前に知っていただくほうが、お互いのためだからです。経費のかからない案件もありますので、資金に不安がある方こそご相談ください。

▶ 株式会社オーシャンズ 募集中の求人を見る

※本記事は記事作成時点の一般的な説明です。税額・保険料・制度の内容は自治体や個人の状況により異なります。必ずお住まいの市区町村・年金事務所・所轄の税務署にご確認ください。