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軽貨物は複数の会社と契約していいのか|掛け持ちの実務と、専属条項の落とし穴

軽貨物は複数の会社と契約していいのか|掛け持ちの実務と、専属条項の落とし穴

軽貨物ドライバーは個人事業主です。本来、どの会社と何社契約しようと自由のはずです。実際、複数の会社の案件を組み合わせて走っている方はたくさんいます。

ところが、「掛け持ちできると思っていたら、契約書で禁止されていた」という相談が少なくありません。しかも本人は契約書を読んでいないので、後から知ることになる。

この記事では、東京・江東区で18年軽貨物配送を続けてきた立場から、掛け持ちができるかどうかの判断方法と、実務上の注意点を整理します。

まず、契約書のどこを見るか

掛け持ちを縛る条項には、いくつか種類があります。言葉が違うだけで、効果は似ています。

条項の名前よくある書かれ方意味
専属条項「乙は甲の業務に専属するものとする」他社の仕事を受けられない
競業避止条項「同種の業務を行ってはならない」同業他社での稼働を制限
兼業の事前承諾「事前に書面による承諾を要する」届け出れば可能な場合がある
稼働日の指定「週◯日以上の稼働を要する」実質的に他社の余地がなくなる
車両の使用制限「貸与車両は本業務以外に使用不可」車がある限り他社で走れない

最後の2つが盲点です。「掛け持ち禁止」と書いていなくても、実質的に不可能になっているケースがあります。週6日稼働が条件なら、他社に回す時間はありません。会社の車しか持っていなければ、その車では他社の仕事ができません。

だから「掛け持ちしていいですか」だけでなく、「この契約で、他社の仕事を受ける余地はありますか」と聞いてください。

「掛け持ち可」と明記している会社もあります

逆に、複数業者への登録を歓迎している会社もあります。当社の長距離・チャーター便の求人票にも「複数業者登録可」と記載しています。

なぜ許容できるのかというと、案件が安定していて、無理に囲い込む必要がないからです。逆に言えば、強く縛ろうとする会社ほど、人が離れる前提で設計されていることがあります。

もちろん、専属を求めること自体が悪いわけではありません。企業専属便のように、荷主が「毎日同じ人が来ること」を前提にしている案件では、専属である必要があります。その場合は、専属である代わりに稼働が保証されているかを確認してください。

掛け持ちが向いている場面、向いていない場面

掛け持ちが向く1社に絞るほうが向く
案件の性質スポット便・半日案件企業専属便・定期ルート
収入の作り方複数の柱で埋める1本を太くする
リスク1社が切れても全滅しない案件がなくなると収入ゼロ
手間連絡先も請求も複数シンプル
信頼広く浅くなりやすい深い関係が作れる

掛け持ちの最大の利点はリスク分散です。荷主都合で案件が消えることは実際にあります。1社だけに依存していると、その瞬間に収入がゼロになる。

逆に最大の欠点は関係が浅くなりやすいことです。「困ったときに相談できる会社」は、日頃の付き合いがあってこそ成立します。どこにも深く関わっていないと、いざというとき誰も助けてくれません。

現実的な組み方:土台を1本、上乗せを1本

実際にうまくいっている方の多くは、この形です。

役割案件の例ねらい
土台定期のルート配送、時給制の企業配毎月の最低ラインを確保する
上乗せスポット便、チャーター便余力のある日だけ足す

土台があるから生活が読める。上乗せがあるから伸ばせる。全部をスポットで埋めようとすると、依頼がない月に苦しくなります。

組み合わせの考え方は案件タイプ徹底比較にまとめました。

掛け持ちするときの実務上の注意

1. スケジュールをダブルブッキングしない

当たり前ですが、いちばん多い事故がこれです。受けた案件を落とすと、信頼は一度で失われます。複数社を持つなら、予定の管理は自分の責任です。

2. 車両の扱いを確認する

会社から貸与された車で他社の仕事をするのは、契約違反になるのが通常です。掛け持ち前提なら、自分の車を持つ必要があります。この判断はリースか購入かをご覧ください。

3. 保険の補償範囲を確認する

任意保険や貨物保険が、どの業務まで補償するのかを確認してください。会社が掛けている保険は、その会社の業務にしか適用されないのが通常です。

4. 確定申告はまとめて1つ

複数社から報酬を受け取っても、あなたの事業は1つです。すべての売上と経費を合算して申告します。会社ごとに分けるものではありません。経費の扱いは確定申告の記事をご覧ください。

5. インボイス登録は事業者単位

「A社では登録事業者、B社では免税事業者」という使い分けはできません。登録すればすべての取引で登録事業者になります。取引先全体を見て判断してください。詳しくはインボイスの記事へ。

よくある質問

契約書に専属条項があるのに、こっそり他社で走るとどうなりますか?

契約違反になります。発覚すれば契約解除の理由になり得ますし、違約金の定めがあれば請求される可能性もあります。やるなら、まず会社に相談してください。事情を話せば認められることもあります。

専属を求められましたが、稼働の保証はありません。

それは確認すべき点です。専属を求めるなら、その代わりに一定の稼働や報酬を保証するのが筋だと考えています。「他社では働くな、ただし仕事があるとは限らない」という条件は、あなたにとって一方的に不利です。

いまの会社を辞めずに、他社を試すことはできますか?

契約次第です。専属条項がなければ可能な場合があります。収入を途切れさせずに試せるのは大きな利点なので、まず契約書を確認してください。会社員の副業として始める場合はこちらの記事もご覧ください。

掛け持ちしていると、会社から嫌がられませんか?

会社によります。明示的に「複数業者登録可」としている会社もあれば、専属を前提にしている会社もあります。隠すのではなく、最初に確認するのが結局いちばん揉めません。

何社まで持てますか?

物理的に走れる範囲までです。ただし、3社4社と増やすほど、どこにも深く関われなくなります。土台1社+上乗せ1社くらいが、現実的に管理できる範囲だと思います。

まとめ:自由なはずのものが、契約書で縛られていることがある

業務委託である以上、複数社と契約する自由は本来あります。それを制限しているのは、法律ではなく契約書です。だから、契約書を読めば分かります。

確認するのは3つ。専属・競業避止の条項があるか。稼働日数の条件で実質的に塞がれていないか。貸与車両の使用制限はどうなっているか。

株式会社オーシャンズは、東京・江東区で18年、軽貨物配送を続けてきました。案件によって専属が必要なものと、複数業者登録が可能なものがあります。どちらなのかは、面談で明確にお伝えします。曖昧にしたまま契約していただくことはありません。

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※契約内容の解釈でお困りの場合は、フリーランス・トラブル110番(厚生労働省委託・無料・匿名可/0120-532-110)にご相談いただけます。