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電球をつけてあげる人が、「変態みたいな顔」と言われた話。

玄関の外で荷物を持つ、一重の目元で40代半ばの男性配送員。顔の感想より、荷物ありがとうを、というコピー入りイメージイラスト

子どもが泣いたら、店内のBGMをアンパンマンに。

そんな対応をする飲食店の張り紙が、SNSで話題になっていました。

紹介記事では、33万いいね。

こういうお店、いいですよね。話題になった張り紙の記事

子どもが泣いたとき、親御さんだって困っている。

周りの目が気になって、ご飯の味も分からなくなることがあると思います。

そこで、お店が少し空気を変えてくれる。

「迷惑です」と言われるかもしれなかった場面で、肩の力を抜かせてくれる。

こういう気遣いって、マニュアルの文章より、ずっと心に残ります。

この話を見て、うちの配送の現場を思い出しました。

困っている人を見ると、放っておけないドライバーがいるんです。

ただ、その話には、ちょっと切ない続きがありまして。

電球は届いた。でも、明かりがつけられない

私たちは、大手ホームセンターの配送を請け負うことがあります。

たとえば、電球をお届けする仕事。

配送先が、ご年配の方のお宅ということもあります。

そこで、こんなお願いをされることがあるんです。

「この電球、つけてくれない?」

電球を買うことはできた。

届けてもらうこともできた。

でも、一人では交換できない。

商品が届いても、まだ困りごとは終わっていないんですね。

ただ、荷主であるホームセンターからは、お客様のお宅に入ることを禁じられています。

配送と、取り付け作業は別です。

それでも、困った顔で「一人ではできないので、お願い」と言われると。

こちらも、人の子です。

役に立ちたい。

その気持ちから、電球をつけたことがあります。

ここは、きれいな話として済ませてはいけないところでもあります。

電球交換は、配送に付いているサービスではありません。全員が対応するものでも、依頼すればしてもらえるものでもありません。

助けたい気持ちだけで、荷主のルールや安全上の決まりを越えていいわけではない。困りごとを受け止めたうえで、営業所や荷主に確認することが必要です。

それでも、その場で「何とかしてあげたい」と思う気持ち。

私は、その気持ちまでなくしてほしくはないんです。

そんなAさんが、ある日、再配達になりました

ここからは、そんな心優しい配送をしていた、Aさんの話です。

ある日、お客様のお宅へ配送に行き、インターホンを押しました。

応答がありません。

Aさんは、不在票をポストへ入れました。

なお、配送では、お宅にいらっしゃっても、そのときは応答できず、あとで不在票を見て再配達の連絡をくださることがあります。

手が離せなかったり、すぐに玄関まで出られなかったり。

事情はいろいろありますから、出てこなかった理由はこちらには分かりません。

今回も、営業所に再配達の依頼が入りました。

そこまでは、いつもの仕事の流れです。

ところが、その電話で、お客様からこんな一言が。

「さっき変態みたいな顔した人が、インターホンを押してきたんですけど」

……ちょっと待ってください。

荷物の話から、急に顔の話になりました。

配送に、顔の審査はありましたっけ

いや、お客様。

Aさんは、荷物を届けに来たんです。

オーディションを受けに来たんじゃありません。

インターホンのカメラ越しに見えたのでしょうか。そこは分かりません。

でも、見え方がどうであれ、「変態みたい」は、さすがにちょっと。

荷物が違っていた。

時間について確認したい。

対応で気になることがあった。

そういうお話なら、ちゃんと伺う必要があります。

でも、顔について、その言い方をされましても。

こちらとしては、

「配送担当者です」

としか、お答えしようがありません。

顔を理由にそんな呼び方をされる仕事だったとは、聞いておりません。

次に向かったのは、Cさんでした

電話を受けた営業所の担当者は、何も言わず、AさんではなくCさんに再配達を依頼しました。

ここで、「では、Cさんは美男子なのか」と思った方。

そういう話ではありません。

Cさんも、荷物を届けに行くんです。

話がまた顔の審査へ戻ってしまうので、いったん荷物のところまで帰ってきてください。

営業所の担当者が何を考えて交代したのかは、分かりません。

ただ、Aさんは再配達に向かわず、Cさんが担当することになりました。

出来事としては、それだけです。

それだけなんですが。

私は、どうも引っかかるんです。

困っている人に頼まれたら、何とか役に立ちたいと思っていた人が。

別の配送先で、顔について、そんなふうに言われた。

もちろん、電球交換を頼んだ方と、今回のお客様は別の話です。

親切にした相手から恩を仇で返された、という話ではありません。

それでも、同じ一人のドライバーに起きたこととして考えると、何とも言えない気持ちになります。

笑い話にできても、言っていいことにはならない

「これ、最近よく聞くカスハラじゃないですか(笑)」

そう言いたくもなります。

出来事の理不尽さを、笑いに変えることはできます。

でも、笑えたからといって、平気だったことにはならないんですよね。

Aさんがその言葉を知ってどう感じたか、ここで勝手に書くことはできません。

ただ、仕事をしている人の容姿を、性的な悪印象と結びつけてけなす言葉を、会社が軽く扱っていいとは思いません。

厚生労働省も、侮辱や暴言をカスタマーハラスメントに関わる言動として挙げています。今回の一言が正式に該当するかは、状況や就業への影響などを踏まえた判断になります。厚生労働省の解説

でも、名前を決める前に、言えることがあります。

配送の内容へのご意見は伺います。働く人の顔を傷つける言葉まで、仕事のうちにはしたくありません。

優しい人が、優しいままで働けるように

最初の飲食店の話に戻ります。

子どもが泣いたとき、親御さんの肩の力を抜いてくれるお店。

あの気遣いが素敵なのは、困っている人を責めずに、場の空気を変えてくれるところだと思います。

配送の現場にも、そういう気持ちを持った人がいます。

電球を届けた先で、困っている方を見て、何とかしてあげたくなる人。

その優しさは、大事にしたい。

同時に、その人がルールを越えて一人で背負わないようにすることも、会社の仕事です。

できることと、できないことを一緒に考える。

傷つくことを言われたときに、「お客様だから仕方ない」で終わらせない。

親切な人ほど、我慢まで引き受けてしまうことがありますから。

お客様に気を遣える人が、自分の気持ちだけ置き去りにしない。

そんな現場を、作っていきたいと思っています。

荷物の向こうの人も、届ける人も大切にしたい

もしあなたが、接客や配送の仕事で、似たような経験をしたことがあるなら。

「そのくらい笑って流せない自分が悪いのかな」と、一人で片付けないでほしいんです。

人と接する仕事には、うれしいことも、困ったこともあります。

だから、仕事を選ぶときは、報酬や時間と一緒に、会社が現場の話をどう受け止めるかも見てください。

オーシャンズの仕事が気になったら、まずは募集内容を見てみてください。

面談では、これまでの仕事で困ったことも、これから大切にしたい働き方も、話してもらえたらと思います。

困っている人の役に立ちたい。

でも、自分も大事にしながら働きたい。

その二つを、どちらも持ってきてください。

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最後に、Aさんの話を読んでくれたあなたへ。

玄関に来るドライバーは、画面の向こうの顔だけでは分からない人です。

誰かの困りごとを放っておけない人かもしれない。

ですから、できれば。

顔の感想より、「荷物ありがとう」を。

その一言は、ちゃんと人に届きます。