- 軽貨物ドライバーをお考えの方へ 2026.08.12
軽貨物ドライバーの年金は会社員よりいくら少ないのか|今から埋める4つの方法
軽貨物ドライバーへの転職を考えるとき、多くの方が目の前の収入で判断します。日給、月収、経費。それは当然のことです。
けれど、もうひとつ静かに変わるものがあります。将来受け取る年金です。
会社員をやめて業務委託になると、厚生年金から抜けて国民年金だけになります。この差は、毎月の給与明細のように目に見えません。だから気づかないまま20年、30年が過ぎてしまう。
この記事では、東京・江東区で18年軽貨物配送を続けてきた立場から、年金がどれくらい変わるのか、今から何ができるのかを整理します。脅すためではなく、打ち手があることを知ってほしいからです。
まず、何が変わるのか
| 会社員 | 業務委託(個人事業主) | |
|---|---|---|
| 加入する年金 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金のみ |
| 保険料の負担 | 会社が半分負担 | 全額自分 |
| 保険料 | 給与に応じて変動 | 定額(令和8年度 月17,920円) |
| 将来の受給額 | 2階建て | 1階部分だけ |
| 障害・遺族への保障 | 厚生年金分が上乗せ | 国民年金の範囲 |
よく「年金は2階建て」と言われます。1階が国民年金、2階が厚生年金。業務委託になるということは、この2階部分がなくなるということです。
国民年金は満額でも、月あたりで見ると生活費をまかなえる額ではありません。厚生年金を長く払ってきた方ほど、抜けたときの差は大きくなります。ご自身の見込み額は、ねんきん定期便や「ねんきんネット」で確認できます。まずそこを見てください。
差を埋める4つの方法
幸い、自営業者向けの上乗せ制度は用意されています。そして、そのほとんどが掛金を全額所得控除にできます。つまり、将来に備えながら、今の税金も減らせるという仕組みです。
① 付加年金(月400円)
いちばん手軽で、いちばん見落とされているのがこれです。
国民年金保険料に月400円を上乗せして納めると、将来受け取る年金が「200円 × 納付した月数」だけ毎年増えます。
| 計算 | |
|---|---|
| 10年間(120か月)納めた場合の支払総額 | 400円 × 120か月 = 48,000円 |
| 増える年金額(毎年) | 200円 × 120か月 = 24,000円 |
| 元が取れるまで | 受給開始から2年 |
受け取り始めて2年で元が取れ、それ以降はずっとプラスです。月400円でこの効率の制度は他にありません。申し込みは市区町村の窓口です。詳しくは日本年金機構でご確認ください。
② 国民年金基金
自営業者向けの上乗せ年金です。掛金は全額が社会保険料控除の対象になり、受け取る年金額が加入時に決まるのが特徴です。
ただし、付加年金とは併用できません。どちらか一方になります。また、途中で自由にやめて引き出すことはできません。
③ iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で運用しながら老後資金を作る制度です。掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になります。
国民年金第1号被保険者(自営業者・フリーランス)の掛金の上限は、月額68,000円です(国民年金基金の掛金や付加保険料を納めている場合は、その額を差し引いた額)。なお、この上限は2026年12月から引き上げが予定されていますので、最新の金額は厚生労働省やiDeCo公式サイトでご確認ください。
注意点は、原則60歳まで引き出せないことです。手元の資金に余裕がない状態で始めると苦しくなります。
④ 小規模企業共済
個人事業主のための「退職金制度」です。月1,000円から70,000円の範囲で積み立てられ、掛金は全額が所得控除になります。
iDeCoとの大きな違いは、廃業したときに受け取れることです。60歳を待つ必要がありません。また、納付した掛金の範囲内で貸付制度が使えるため、事業資金が必要になったときの備えにもなります。
4つの比べ方
| 掛金の目安 | 税制 | 引き出し | 向いている人 | |
|---|---|---|---|---|
| 付加年金 | 月400円 | 社会保険料控除 | 年金として | 全員。まずこれ |
| 国民年金基金 | 選択制 | 社会保険料控除 | 年金として | 受給額を確定させたい人 |
| iDeCo | 上限あり | 全額所得控除 | 原則60歳から | 長期で運用したい人 |
| 小規模企業共済 | 月1,000〜70,000円 | 全額所得控除 | 廃業時など | 柔軟性も欲しい人 |
優先順位をつけるなら、まず付加年金です。月400円で効果が確実、手続きも簡単。ここを飛ばして難しい制度から検討する必要はありません。
次に、資金に余裕が出てきたら小規模企業共済かiDeCoを検討する。この順番が現実的です。
節税効果も、実はかなり大きい
これらの掛金は所得から引けるので、今の税金が減ります。
たとえば小規模企業共済に月3万円(年36万円)を積み立てた場合、所得税と住民税を合わせて15%の税率帯なら、年間で約5万4千円の節税になります。積み立てながら税金が減るということです。
さらに、所得が下がることで国民健康保険料にも効いてきます。ただし、掛金を出す余裕がなければ意味がないので、まずは目の前の資金繰りが優先です。経費と税金の全体像は確定申告の記事をご覧ください。
その前に:保険料は「払える形」で払ってください
上乗せの話の前に、国民年金の本体をきちんと納めることが最優先です。
収入が少なくて払えない時期は、未納のまま放置せず、必ず免除・納付猶予の申請をしてください。未納と免除では、将来の年金額も、障害年金を受けられるかどうかも変わります。
| 未納のまま放置 | 免除を申請 | |
|---|---|---|
| 将来の年金額 | その期間はゼロ扱い | 一部が反映される |
| 受給資格期間 | 算入されない | 算入される |
| 障害年金 | 受けられないことがある | 要件を満たせる |
| あとから納める | 期限あり | 追納できる(期限あり) |
「払えないから放っておく」がいちばん損をします。年金事務所か市区町村の窓口に、正直に状況を伝えてください。
よくある質問
会社員に戻れば、また厚生年金に入れますか?
入れます。厚生年金の加入期間は積み上がっていくので、これまで払った分が消えるわけではありません。「独立した期間だけ2階部分が積み上がらない」ということです。
いくら備えれば足りますか?
生活水準によるので一律の答えはありません。まず、ねんきん定期便で自分の見込み額を確認してください。そのうえで、老後に必要な額との差を埋める方法を考えるのが順序です。金額を知らずに不安がるのがいちばん非効率です。
国民年金基金とiDeCoは両方できますか?
できますが、掛金の合計に上限があります。また、国民年金基金と付加年金は併用できません。組み合わせに条件があるので、加入前に必ず確認してください。
小規模企業共済は誰でも入れますか?
個人事業主や小規模企業の経営者などが対象です。業種や規模の要件がありますので、加入できるかは中小企業基盤整備機構または取扱いの金融機関にご確認ください。
今は余裕がありません。後回しでいいですか?
構いません。ただし付加年金の月400円だけは、今日からでも検討する価値があります。負担が小さく、効果が確実だからです。まずそこだけでも。
まとめ:見えないものほど、先に手を打つ
年金は、20年後30年後の話です。だから後回しになります。でも、後回しにできる期間が長いということは、早く始めた人ほど差がつくということでもあります。
やることは3つです。ねんきん定期便で今の見込みを知る。国民年金は未納にしない。まず付加年金から上乗せする。
株式会社オーシャンズは、東京・江東区で18年、軽貨物配送を続けてきました。目先の日給だけでなく、10年後20年後も走っていられるかを一緒に考えます。制度の話も、遠慮なくお尋ねください。
※本記事は記事作成時点の一般的な説明です。制度の要件・限度額・税制は改正されることがあります。加入の判断は、年金事務所・各制度の実施機関・税理士等の専門家にご確認ください。